(写真はイメージ)
■早川、藤平、才木、鈴木昭、坂倉らを取材
野球日本代表侍ジャパンは2024年11月に「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」を戦った。フレッシュな顔ぶれとなったが、2026年のワールド・ベースボール・クラシックへ向けて、大きな経験を積んだ選手が多かったのでないだろうか。
選ばれたメンバーの中で注目していたのが、8年前に取材をしていた選手たちのことだった。2016年、私はプレミア12と同じ台湾で行われた高校日本代表のU-18アジア選手権で選手たちを追いかけた。
当時は作新学院(栃木)が甲子園大会を優勝した。エースの今井達也(現・西武)と入江大生(DeNA)が躍動し、そのままメンバー入りを果たした年だった。アジア選手権の決勝でも今井は先発をして、台湾代表に勝利。U-18日本代表が見事、優勝を果たしていた。
今井だけでなく、投手陣は充実していた。選ばれたピッチャー8人全員が後にプロ入りするメンバーだった。プレミア12でもメンバーに選ばれている早川隆久投手(楽天)や、好リリーフを見せた藤平尚真投手(楽天)も好投を見せていた。2人は国際舞台を若い頃から経験しているとあり、プレミア12でも落ち着いてマウンドに立っていた。
この世代は高校ジャパンのメンバー入りをするにも一苦労というか、ハイレベルな争いだった。早川や藤平の“同級生”で実力のあった選手が当時、たくさんメンバー漏れをしていた。そんな選手たちが、今回の侍ジャパンで主力選手として活躍している。
阪神のエースになった才木浩人投手や、ロッテの中継ぎとしてブレークし、今大会でも数々のピンチを凌いできた鈴木昭汰投手、正捕手として投打で活躍した坂倉将吾捕手がその代表格だ。
当時の高校ジャパンの選考も、スタッフが全国を飛び回り、甲子園出場の有無関係なく、バランスもよく最高のメンバーが揃っていた。チームワークもよく、接戦を勝ち抜き、頂点に立った。ただメンバー選考に漏れた彼らは当時、同級生たちへのライバル心は隠そうとしていなかった。
高校から直接、プロに入った才木や坂倉。4年後を見据えてドラフト1位を獲得した鈴木というように進んだ道筋は異なるが、それぞれが、自分の現在地を認識し、ビジョンを持って、自分磨きに励んでいた。彼ら3人に共通していたのは内に秘めた負けん気の強さだった。悔しかった。でも、諦めずに戦ったから今がある。
あれから、もう8年が経つ。若くして現役を引退した元プロ選手も多くいる。彼らの人生も素晴らしいものになることを願うとともに、2年後のWBCでこの世代が躍動することが今から楽しみでもある。そして、若い世代のカテゴリーの代表に選ばれなかったからといって悲観する必要はない。小中学生においていえば、他の選手と自分の実力を比較する必要はない。
戦う相手は自分自身。昨日の自分を超えることができたのか。それが重要なポイントだと考える。