「コロナ禍がチャンスをくれた DeNA宮國投手に注目」
長引くコロナ禍の影響は、プロスポーツに思わぬ事態を生んでいる。
プロ野球やJリーグ、その他のスポーツでも多くの外国人選手が入国できず、いまだにチームに合流できていないのだ。
プロ野球では、横浜DeNAの10人を筆頭に巨人の6人、ソフトバンクの5人、ヤクルト、西武、日本ハムがそれぞれ4人、NPB(日本プロ野球機構)全体で47人の選手が海外での待機を余儀なくされている。
すでに開幕しているJリーグも主力の外国人選手が来日できず、徳島などはダニエル・ポトヤス監督が不在のまま戦っている。
NPBもJリーグも、政府に入国の容認を訴えてきたが、緊急事態宣言が発令されている中では、スポーツだけが特別という訳にはいかなかった。
それでも、ここにきてやっと光が見えてきた。
政府が外国人の入国ルールの中で、人道上の理由などによる「特段の事情」を適用しての入国許可を検討していることが分かったのだ。
来週22日に緊急事態宣言が全面的に解除されれば、それを受けて外国人選手の入国が一気に始まるかもしれない。
ただ、たとえ入国が許可されても、14日間の待機期間などがあり、選手が実際にプレーできるまでには、最短でも1か月ぐらいはかかりそうだ。
しかし、こればかりは現在行われている防疫上のルールに則って、その中で進めていく以外に方法がない。まずは非常事態宣言の全面解除を祈るばかりだ。
そうなれば、係る事態は一気に前進することになるだろう。
マイナス面ばかりが取り上げられるコロナ禍だが、プロ野球では思わぬチャンスを提供している。
外国人選手がいないおかげで、キャンプ中の練習試合やオープン戦で例年になく日本人選手、特に若い選手に出場の機会が増えているのだ。
加えて、ルーキーの活躍も目立つ。阪神の佐藤輝明外野手や巨人の秋広優人内野手などは、オープン戦で大活躍、レギュラーをつかみそうな勢いだ。
そんな中でコロナ禍の影響と言っては失礼だが、去年、巨人から戦力外通告を受けた宮國椋丞投手が横浜DeNAと育成枠で契約した。背番号は3ケタの「106」に決まった。
巨人時代には開幕投手も務め、もとより実力のある選手だが、このタイミングで入団が決まった背景には、やはり横浜DeNAの投手不足があるだろう。外国人投手が7人(育成枠を含め)も入国できていないのだ。
これは宮國投手にとって、願ってもないチャンスの到来だ。
まだNPBから正式に発表されていないが、今シーズンもベンチ入りのメンバーが増えたり、延長戦の打ち切りが設けられたり、コロナ対応のルールで開幕することになるだろう。
これは控えに甘んじていた選手や若手にとって大いなるチャンスだ。
外国人選手が合流する前に、しっかりと存在をアピールする。
その意味では、日本人選手には開幕ダッシュが求められる。
どんな選手が飛び出してくるのか。
「ここからはい上がる気持ち。支配下登録を目指して日々頑張っていきたい」
そう語る宮國投手にも注目したい。
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテナで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。