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Vol.26 子どもたちの未来を支える視力管理 野球指導における新たな視点

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    (野球と子どもの視力の関係性とは…)

    ■自然な導き方に、子育ての本質 

     先日、中学硬式野球・ボーイズリーグのシンポジウムで眼科医の講演を聴き、胸が締め付けられる思いがした。子どもたちの近視が急増している現実を深刻に捉えなければならない。野球界では肘や肩のケアは当たり前になったのに、「見る力」を軽視してはいけない。

     私がよく取材する現役プロ野球選手は「子どもの頃はゲームやスマホより、外で遊ぶ方が楽しかった。森の中を走り回って、高い木々や遠くの空をよく見ていました」と語る。その習慣が、現在の視力2.0に結びついている。

     保護者や指導者は、子どもの目の変化に敏感であるべきだ。ボールを何度も見逃したり、打つべきボールを打たなかったりした時、「集中力がない」と叱るのではなく、「もしかして見えていないのでは」と考えることも重要だ。

     デジタル社会の波は避けられないからこそ、家庭での意識的な取り組みが必要だ。スマートフォンやゲーム機器の使用を制限し、遠くを見る時間を確保したい。

     近視は病気——。受け入れたくない言葉だが、それが現実だ。子どもの視力低下を感じたら、迷わず眼科を受診すべきだ。野球選手にとって視力はパフォーマンスに直結する「命」である。視力低下はプレーの質を著しく下げる。

     子どもの視力を守るために必要なことは、毎日2時間以上の屋外活動で自然光を浴びること、近距離作業は30分以内に抑え、画面との距離を30cm以上保ち、定期的に遠くを見る習慣をつけること、そして背筋を伸ばした姿勢を維持することだ。

     肘や肩と同じように、いや、それ以上に大切な「目」。私たち親が意識を変え行動することで、子どもたちの未来は大きく変わる。プロ野球選手のような鋭い眼光を持つ子どもたちを育てるため、今日も彼らの変化に寄り添っていきたい。

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