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Vol.25 大谷翔平投手に見る 子育てと指導で大切なこと

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    (野球を通じた子育てに注目してみた)

    ■自然な導き方に、子育ての本質 

     3月18日からメジャーリーグ開幕戦が東京ドームで開催され、ドジャースの大谷翔平選手への関心がさらに高まっています。大谷選手の姿を見ていると、その卓越した能力の背景には幼少期からの環境や家庭教育が大きく影響していると感じます。中学、高校時代から明確な目標を持ち、着実に努力を重ねてきた姿勢に学ぶところは多いと感じます。

     大谷家のリビングには家族が自然と集まる温かい雰囲気があったと聞きます。そこでは野球について語り合う時間も大切にされていたことでしょう。両親は野球を強制するのではなく、生活の基本を重視していたと言います。この自然な導き方に、子育ての本質を見る思いがします。

     少年野球や中学野球、高校野球の指導者さんを取材して感じることは、子どもの可能性を引き出すには強制ではなく自然な形で導くことが大切だということです。基本的な生活習慣や価値観についての指導は必要ですが、最終的な決断は子ども自身に委ねる勇気も必要なのでしょう。「あなたはどうしたい?」と問いかけ、子どもが自ら考える機会を作ることの大切さが成長につながっていくと日々、学びがあります。

     子どもの夢を「計画」に変える力を育むこと、成功よりも「挑戦する姿勢」を大切にすること、そして「どの環境なら自分が最も成長できるか」を子ども自身に考えさせること—これらの姿勢が、大谷選手のような自立した人間を育てる鍵なのだと感じます。

     指導者や保護者ら大人ができることは「結果」よりも「過程」と「成長」に目を向け、子どもが自ら考え、挑戦できる環境を整えることではないでしょうか。大谷選手の姿から、才能を開花させるのは子ども自身の情熱と決断力、そしてそれを見守る家族の存在なのだと、私は心から思います。野球というスポーツを通じて培われる自己決断力と挑戦する心こそが、子どもたちの将来を支える大きな力になるのです。

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