令和の断面

vol.247 大谷より今永推し

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     まず断わっておきます。
     この原稿は、3月18日の日中に書いています。
     ですので、今夜行われる日本でのメジャー開幕戦、シカゴ・カブス対ロサンゼルス・ドジャースの結果は分かっていません。
     しかも、これがアップされるのは、20日か21日になると思うので、2試合が終わって両チームはもうアメリカに旅立った後になります。
     そのタイムラグがあるのは、ご了解ください。
    
     その上で、今夜先発でカブスのマウンドに上がる今永昇太投手について書こうと思う。
    
     試合前日(17日)に行われた記者会見。
     ドジャースの1番指名打者で出てくるであろう大谷翔平との対戦について聞かれ、今永はこう答えている。
    
     「世界一の選手であることは間違いない。自分がベストな投球を心掛け、それを彼が打ったか、打たなかったの2択だけ。時には彼の技術が上回ってしまうかもしれないけど、その時点で試合は決まらない。試合が決まる時まで頑張りたい」
    
     日本時代(横浜DeNA)には、そのコメントの奥深さや論理的な思考から、「博士」や「哲学者」と呼ばれた今永昇太。
     このコメントには、そのプロらしい姿勢(思考)が見事に表れている。
    
     まずプロとしてやらなければいけないことは「自分がベストな投球をする」ことだ。それがまずもっての最優先課題だ。
    
     そして、その先に待っている結果は「打った」か「打たなかった」かの2択だと、自分にとって悪い結果も最初から想定内にしていることだ。
     ベストな投球をしたから抑えられるわけではない。
     相手の技術が上回れば、自分のベストボールも打たれてしまう。
     そのことを想定しておくことが大事なのだ。
     そうでなければ、そこで動揺して終わってしまう。
     大切な仕事はまだまだ続く。
    
     今永は言う。
     「その時点で試合は決まらない。試合が決まる時まで頑張りたい」
    
     今永の今永たるところは、ここだろう。
     たとえ大事なところで相手の強打者に打たれたとしても、そこで試合が終わるわけではないのだ。その後も粘って投げ続ける。
     それこそがプロの仕事なのだ。
    
     そして、この姿勢は1試合だけのものではない。
     シーズンを通してこの態度で臨んでいく。
     1つ負けても、それでシーズンが終わるわけではないのだ。
    
     昨シーズン、15勝をあげた今永も3敗している。
     ただ3敗しかしていないのは、前述のような粘り強い姿勢があるからだろう。
    
     さて、二人の対戦はどうなるのか?
     今永の言葉を借りれば「自分がベストな投球を心掛け、それを彼が打ったか、打たなかったの2択だけ」
    
     日本中が大谷の一発を楽しみにしているだろうが、私は今永が抑えることを期待しながらこの試合を見ることにしよう。
    
     今永の試合に臨む姿勢は、どんな仕事にも通用するプロのノウハウだ。
    
    
    

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