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Vol.18 3年目を迎えたジャパンウインターリーグ 国内から世界への“化学反応”

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    沖縄で開催されたジャパンウインターリーグの出場者たち(写真提供・JWL)

    ■沖縄県で開催し、今年はNPB球団も参戦した


     野球がオフシーズンに入ると、ウインターリーグの話題があがる。主な目的は、オフ期間中の選手育成とスキル向上にある。若手は実戦経験を積み、技術を磨く。ベテランはコンディション維持や調整の場として活用する。メキシコやオーストラリア、台湾など温暖なエリアで開催されることが多い。 

     日本以外の選手のプレースタイルや文化に触れることで、選手の視野を広げ、国際経験を蓄積できる。 最近では今年で3年目に入った日本国内のウインターリーグにも注目が集まっている。
     ジャパンウインターリーグ(JWL)は、11月23日から12月19日までの約1か月間、沖縄県内で開催。今年でNPB球団を戦力外になった投手、1軍を目指すプロ選手から、NPB入りを目指すアマ、そして海外でプレーする選手たちまで、多彩な顔ぶれが集結した。

     今大会には西武、楽天、DeNAからの選手派遣が加わった。米国や台湾を含む13の国・地域から意欲的な選手たちが参加。米マイナー球団所属選手や台湾リーグのドラフト指名選手など、世界各地からハイレベルな才能が集まり、スタンドにはNPB、日本国内の独立リーグのスカウト、MLBの関係者も多数訪れた。昨年も独立リーグの球団が多くの選手と契約した。

     JWLの鷲崎一誠代表は、自身の経験から選手たちへの強い思いを持つ。「野球ができる環境へのルートを作ってあげたいんです」。自身は慶大で野球をやっていたが、出場機会に恵まれず、アメリカのカリフォルニアのリーグに参加した。自分と同じように悔しい思いをしている選手たちにトライアウトの機会を与えたいという信念がある。実力差によって「アドバンス・リーグ」と「トライアウト・リーグ」という2部制の採用や、週2回のレベルアップ講習会の実施など、独自の取り組みを実施し、機会の創出に取り組んでいる。

     先日幕を閉じた2024年大会では、Honda鈴鹿の近藤遼一選手が打撃部門で好成績を残したり、DeNAの草野陽斗も最多の登板数を記録するなど、将来のNPBでの活躍を予感させる活躍を見せた。独立リーグからの参加選手の活躍やアメリカからの選手も打撃に走塁にパワーを見せつけ、レベルの高い野球を披露した。

     沖縄に根差し、野球界を発展させる――。鷲崎代表の理想へ同リーグは近づきつつある。最新のデータ分析設備や、NPB球団との連携など、充実したサポート態勢も、リーグの成長を後押ししている。日本国内からの選手、指導者、スカウト、メディアも交わり、新たな化学変化を生み出すこのリーグは、野球界の未来を照らしている。

    ◇ジャパンウインターリーグ(JWL)公式ホームページ
     https://www.japanleague.co.jp/about

     

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