■早生まれの選手が多いが…プロで結果を残す確率は1~3月生まれがトップ
先日、プロ野球のキャンプ中継を見ていた時のこと。新戦力の紹介でプロフィールが掲載されていた。出身高校や身長、体重なども気になるが、生年月日も凝視し、ふと思った。「早生まれが多いな」と。
なぜ、そう思ったか。過去に取材をさせてもらったことのある東京農業大学の勝亦陽一(かつまた・よういち)准教授の研究では、プロ野球選手は4~9月生まれが多いというデータがあったからだった。
一方で好結果を残す確率は10~3月生まれが高いという研究データもある。巨人の阿部慎之助監督は3月20日で、ヤクルトの村上宗隆内野手も2月2日生まれ。監督やタイトルホルダーの名前がすぐに出てくる。良き例とし、野球指導者に会った時に私はこの話を例に出す。勝亦教授が変えようとしている現在の少年野球の仕組みをお手伝いしたいという思いがあるからだ。
勝亦氏は、同学年の中で誕生月が早い選手は遅い選手よりも早熟であることを指摘する野球を始める頃の発育には年齢の差が出る。同学年の中で生まれ月が早い子は、試合に出場する機会が多くなる。1~3月生まれの子どもは試合に出られず、面白くなくて野球をやめてしまう。才能の違いではなく、成長の度合いが原因となっていることに指導者は気が付かないといけないのだ。
■誕生日月を知って、出場機会を均等にする少年野球チームであってほしい
高校生、中学生、小学生と年齢の若いカテゴリーになればなるほど、生まれ月が選手に与える影響が出る。才能が開花する前に野球をやめる子どもたちが増えてしまう。それはなんとか阻止しないといけない。でも、阿部監督や村上選手に代表されるように、早生まれでも成長をしっかりと待ってあげることができれば、大輪の花を咲かせることだってできる。
少年野球界では、勝利至上主義からの脱却を図るチームが増えてきている。勝利を求め、子どもたちの成長を後押しする考えも否定はできない。ただ、勝利のみを求めるのではなく、生まれ月や体格によってチーム分けをして試合をしたり、出場機会の偏りをなくしたりしながらチームを運営していく方法を模索してほしい。
子どもの誕生日を知って、選手を起用することで可能性が広がり、未来を変えることにもつながる。大人たちがしっかりと見ていくべきポイントだと考える。今年のキャンプ中継で確認した選手たちはたまたまなのか、早生まれが多い印象だった。少しずつ、野球界に変化が見え始めたのではないかと信じたい。
2002年に報知新聞社で記者職。サッカー、芸能担当を経て、2004年12月より野球担当。2015年まで巨人、横浜(現在DeNA)のNPB、ヤンキース、エンゼルスなどMLBを担当。2015年からは高校野球や読売巨人軍の雑誌編集者。2019年1月に退社。同年2月から5つのデジタルメディアを運営するITのCreative2に入社。野球メディア「Full-Count」編集長を2023年11月まで務める。現在はCreative2メディア事業本部長、Full-CountのExecutive Editor。記事のディレクションやライティング講座、映像事業なども展開。