「櫻井心那に感じた大物感」
7月3日、日曜日の午後、女子プロゴルフ「資生堂レディース(最終日)」のテレビ中継に釘付けになった。
優勝争いに4人(桜井心那、桑木志帆、岩井明愛、宮田成華)がひしめく大混戦。最後に抜け出したのは、10アンダーで並んだ桜井と桑木の両選手。決着はプレーオフに持ち込まれて、2ホール目で19歳の新星・桜井心那選手が初優勝を飾った。
去年、下部ツアーで史上最多の5勝をマークしている経験が、終盤の勝負所で生きた。17番を迎えてトップの桑木とは2打差。冷静に勝利へのプランを立てる。
「キャディーさんとも最後はバーディー、バーディーしかないと話しました」
狙い通りに17番は145ヤードを20センチに、18番は100ヤードを1メートルに付けて両ホールでバーディーを奪った。
この連続バーディーには確かな理由がある。
ドライバーの平均飛距離は新人ながらツアー5位の約254ヤードを誇る。
本人も「大会を通じて距離が出ていて、第2打を短い番手で打てた」と勝因に挙げた。プレーオフもドライバーで桑木を圧倒し、最後も3メートルに寄せたバーディーパットを沈めて決着をつけた。
身長166センチの体格を活かしつつも、パワーだけに頼ることなく常に冷静に自分のやるべきことをマネジメントしている。その落ち着きが、混戦の中でも光っていた。この勝利をきっかけに彼女は超新星になるだろうと感じたが、それを確信したのは、優勝インタビューの話しっぷりだった。
「子どもころから目指していたJLPGAの最高峰のツアーで勝つことができて本当にうれしいです」
「私は将来アメリカに行って、世界ランクとか意識しながらすごくキラキラした世界で戦うことが目標なので、ここは通過点だと思っているので、まだまだ課題も山積みですし、どんどん成長して強いプロゴルファーになりたいです」
大きな夢を語りながらも、それが大言壮語に聞こえないのは、謙虚に自らの現状を把握しているからだ。だからこそ頼もしく映る。そして「強いプロゴルファーになる」という明確な目標が、これからの彼女に忍耐と勇気を与えてくれるはずだ。
冷静に自分を見つめて目標に向かって進んでいく。
その確かな姿勢が、今回の優勝に早速表れている。
近い将来、いや数年後に桜井心那選手は、間違いなくキラキラした世界で活躍していることだろう。
そのポテンシャルと可能性を感じる「優勝」と「インタビュー」だった。
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。