「ベッカムはオフサイドを犯さない」
英国ロンドン。
9月8日に96歳で死去したエリザベス女王の国葬が、19日に行われた。
約2000人の参列者が女王の死を悼んだ。
縁あって我が家のふたりの子どもは、英国の大学を卒業した。犬も2代続けて「イングリッシュ・コッカースパニエル」を飼っている。それだけにみんな英国が大好きで、我が家にとってエリザベス女王はアイドルのような存在だった。
そのエリザベス女王の一般弔問に関して、こんな報道を見た。
サッカー元イングランド代表のデービッド・ベッカム氏が、エリザベス女王の一般弔問に訪れ、午前2時から12時間以上、ほかの市民と一緒に行列に並んだというのだ。ベッカム氏は2003年に女王から「大英帝国勲功章」を受けている。
しかし、そんなベッカム氏でも特別な待遇を受けず弔問の列に並ぶのだ。
「人生で女王と会話できたのは幸運だった」と彼は語った。
英国では、「並ぶ文化(キューイング)」が、定着している。
どんなことでも先に来た人から、順番に並ぶ。
整然と並ぶことによって、平等とそれぞれの権利が守られている。
我が家もよくロンドンで並んだ。
ウインブルドンテニスを観に行く時だ。
前売りのチケットとは別に当日券が用意されている。
テニス会場のすぐ横には広大な広場があって売店や仮説のトイレなども完備している。そこに並んでチケットを手に入れるのだ。
用意されているチケットは2000~3000枚くらいだろうか。多い時には1万人近い人が並んでいる。12時間並んだベッカム氏にはかなわないが、我が家も夜中から行って8~10時間くらいは並んだ。
順番を待つために列を作って並ぶ。
ただそれだけのことなのだが、極めて民主的な習慣だ。これが上手にできる社会に余計なストレスはない。
ベッカム氏の行動は英国では当たり前のことだろう。
だから賛辞を贈るつもりはない。
ただ、こうしたことをサラっとできる人をジェントルマンと呼ぶのだろう。
さすが世界のベッカムだ。
ピッチの外では、オフサイドを犯さない。
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテネで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。
2022年7月の参議院議員選挙で初当選。