「ついにベールを脱ぐか、大谷のリアル二刀流」
いやー、楽しみだな!
メジャーリーグ、今シーズンの大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)である。
昨シーズンは、バッター中心の出場(投手としては2登板)になったが、コロナ禍の影響で60試合と言う短期決戦では調子が出ないうちに終わってしまった。というか、やはり投打の二刀流を自身のスタイルにする彼にとって、打つだけではテンションが上がらないのか、大谷らしさを感じることはできなかった。
ところが、今シーズンはいよいよ完全復活、二刀流でまたまた日米の野球ファンを楽しませてくれそうだ。
現地時間3月21日に行われたサンディエゴ・パドレスとのオープン戦。
この試合で大谷は、1番ピッチャーの「リアル二刀流」で先発出場した。
ここまでオープン戦の打撃は好調で、打率は6割(20打数12安打)バックスクリーン越えの大きなホームランも連発(4本塁打)していた。開幕に向けて、あとはピッチングがどこまで上がってくるか…と思っていたが、この日のピッチングは手応え十分の内容だった。
迎えたパドレス戦、ストレートの最速は、101.9マイル(約164キロ)を記録し、変化球のコントロールも良かった。スライダー、カーブ、スプリット、多めの変化球に要所で力の入ったストレートを投じ、打者に的を絞らせない。この日は4イニングを投げたが、後半、抜けるようなボールもあったが、喜々として投げている感じが、何より心強かった。腕の振りが少しコンパクトになったように映ったが、これはトミージョン手術を経て、肘肩への負担を減らそうという意図なのだろう。力感はないが、軽快さが良いリズムを作っている。変化球が思うように決まれば、ピッチングがまとまってローテーションを守っていける。その自信がマウンドから伝わってくるような内容だった。
二刀流でプレーすることの意味(楽しさ)を大谷が改めて語った。
「(投手だけの場合)人に取ってもらった得点だと、これを大事に守ろうとする意識が働く。
その点、自分が打者で出場して打点をあげると、多少打たれてもいいと大胆に投げることができる。その違いがあるのかな…と思います」
日本では公式戦で7度「リアル二刀流」を成し遂げた大谷だが、まだメジャーリーグでは、このオープン戦の出場が初めてだ。
大谷のエンゼルスは、DH制のアメリカンリーグに所属している。ここで「リアル二刀流」をやると言うことは、DHの打者を起用しないと言うことになる。つまりピッチャーでありながら打席に入ることに周囲(首脳陣や他の選手たち)の納得がなければ実現しない。
この日も打者として2安打を放ち、1番としての役割も十分に果たしている。
こうなると、アメリカでの公式戦「リアル二刀流」がいよいよ現実味を帯びてくる。
これまでケガや故障での離脱がありながらも、その存在感をアピールし続けてきた大谷だが、彼の真骨頂はやっぱり投打同時出場の「リアル二刀流」にある。
はっきり言えば、それをやるためにメジャーに挑戦しているのだ。
ジョー・マドン監督も、メジャー屈指のアイデアマンだ。
日本で言えば、イチローやパンチ佐藤を生み出したオリックス時代の仰木彬監督に似ている。
大谷にとって「リアル二刀流」の環境は整っている。
あとは、彼のコンディション次第だ。
今シーズン、ついに「リアル二刀流」がベールを脱ぐのか?
現地4月1日、エンゼルスは本拠地にシカゴホワイトソックスを迎えて2021年のシーズンが開幕する。
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテナで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。