「プロ野球がついに始まる」
プロ野球がついに始まる。
すでに報じられているようにNPB(日本野球機構)は、6月19日の開幕を正式決定した。
スタートは、無観客試合で。
その後、感染の状況を見ながら、7月10日からは上限5000人の観客。8月1日からは、上限人数も撤廃されるという(ドーム球場は50パーセント以内)。
待ちに待った開幕である。
試合数は、120試合。
11月21日からの日本シリーズの予定もすでに決まっている。
セ・リーグはCS(クライマックス・シリーズ)を行わず、パ・リーグはなお検討中とのことである。また移動中の感染リスクを減らすため、1カード6連戦での開催が軸になるという。
もうすぐ対戦カード(日程)も発表されるというから、ファンにとっては待望のシーズン到来である。
春のキャンプを経て、無観客のオープン戦をこなしている間に、開幕の延期が決まった。その後は、チームでの練習も自粛され、選手も自宅待機を余儀なくされた。
これからは、各チームで紅白戦を実施して、6月2日からは練習試合も可能になる。球音が響けば、この閉塞感もだいぶ緩和されることになるだろう。
これだけブランクがあって、選手たちのコンディションはどうか?と心配する向きもあるだろうが、私はまったく心配していない。
むしろ心身のリフレッシュも十分にできて、選手たちは颯爽とグラウンドに現れることになると思っている。
かつてヤクルトの監督を務められた関根潤三さんがこんなことを言っていたことがある。
「お前さん(青島のこと)、だいたい野球なんて教わって上手くなるもんじゃないからね。自分で考えて技術を磨く。そのかわり一旦身に付いた技術は、自転車に乗るのと一緒で、忘れることはない。練習なんかしなくてもいつでもできるようになるんですよ」
戦後の元祖二刀流。
投手で65勝、打者で1137安打を放った天才肌の関根さんならではの感覚と言えないこともないが、一流選手とはそういうものだろう。もちろん技術の前提となる肉体的なコンディションが整っていなければ、その力を発揮することはできないが、この期間にそれを怠っている選手がいるとは思えない。むしろ野球ができない分、トレーニングに費やす時間は豊富にあったはずだ。
だから私は、まったく心配していない。
選手たちは、開幕から全開でハッスルプレーを見せてくれるはずだ。
ひとつの懸念は、無観客のスタンドだ。
ゲームの興奮と緊張は、スタンドのファンが作ってくれる空気だ。スタンドの興奮のボルテージが上がれば上がるほど、選手たちは研ぎ澄まされる。その面での不安は確かにあるが、テレビ中継があれば、選手たちも心強いことだろう。
メジャーリーグも7月の開幕を目指して準備を進めているようだが、試合中の乱闘に厳罰を設けるという情報がある。コロナウイルスの感染を防ぐには、相手と濃厚接触する乱闘はダメだということだろう。不謹慎ながら、メジャーリーグの乱闘は、その面白さの一つだと思っていたが、どうやらそれは許さないようだ。
残念と言った、怒られてしまうが、今の事態の中では仕方がないことだろう。
もちろん日本のプロ野球も、乱闘を許すはずがない。ペナルティーが設けられるかどうかは分からないが、厳しく自粛されることだろう。
ただ、私は言いたい。
これから始まるシーズンは、乱闘になる寸前の熱気でやって欲しい。
それが、開幕を待ち続けたファンへの最大の感謝になるはずだ。
昭和33年4月7日生/新潟県新潟市出身
慶応大学野球部→東芝野球部→ヤクルトスワローズ入団(昭和60年)
同年5月11日の阪神戦にてプロ野球史上20人目となる公式戦初打席初ホームランを放つ。
5年間のプロ野球生活引退後、オーストラリアで日本語教師を経験。帰国後スポーツをする喜びやスポーツの素晴らしさを伝えるべくスポーツライタ―の道を歩む。
オリンピックではリレハンメル、アトランタ、長野、シドニー、ソルトレークシティー、アテナで、サッカーW杯ではアメリカ、フランス、日韓共催大会でキャスターを務める。
現在はあらゆるメディアを通して、スポーツの醍醐味を伝えている。